伊豆半島の中でも素朴で静かな西伊豆。一年ぶりに訪れても、周辺どこも変わっておらず、海を囲む山一面にうるさいほど鳴き響くセミの声に埋もれて、時が止まってしまっているような場所。土肥(とい)温泉にある、古民家風で洒落た雰囲気のお宿「枇杷」は、昔ながらの宴会旅館か民宿しかない土地には、かなり異色。宿泊したのは、土肥温泉主催の花火大会初日。ほぼ毎年、花火大会の日には泊まりに来ている。高台にある宿は、部屋にいながらにして花火の特等席となるからだ。熱海などの花火大会に比べれば、規模も小さく派手さもないが、いかにも田舎の漁港の夏祭りという感じがしていい。花火が始まる数時間前から盆踊りのような民謡が港中に流れ、その田舎っぽさが、自分の生まれ故郷にお盆の里帰りをしたような錯覚を起こさせる。

2005年の枇杷のオープン以来、今回で13回目の訪問となり、我が家では、中伊豆の「あせびの」に次いでリピート率が高い。しかし、正直、旅館業としてダントツ素晴らしいというわけではない。顧客データ管理は相当マヌケていて、毎回「何度目ですか?」と聞かれる。顧客の好みもほとんど把握していない。几帳面な客なら「何度、同じ事言わせるんだ」と怒り出すところだろう。しかし、その何ともヌケた、ほんわかノホホンぼや〜っとしたところが、ゆる〜い西伊豆の雰囲気によく合い、その枇杷らしいボケ具合が気に入ってリピートしているのである。しかし、オープンして7年目・・・見守りつつも、もうそろそろ、キリっとしてもよさそうなもんだとは内心思っている。

この宿のユニークなところは、年長の番頭さん、女将、マネージャーのような人がいないこと。いるのかもしれないが前面に感じられない。若いスタッフの方々は、古い旅館にあるような、スタッフの序列を感じさせない。そして毎年行くたびに、若いスタッフの顔ぶれがすっかり入れ替わっている。新卒を採らない旅館業界の中で、この枇杷は門戸広く新卒を採用しているらしい。必然的に若い人達がドンドン飛び込んでドンドン飛び立って行くのだろう。他の宿では見られない短期卒業率の高さなのだ。今回も知った顔は見かけず、全員「はじめまして」。そして、また、相変わらず「何度目ですか?」と聞かれ、それに答えるところから始まった。トホホと言えばトホホであるが、まぁ「また、話のネタが更新できた」と思えば、面白くもあるかな?

オープン当初は、当時珍しかった高品質なハイテク設備にかなり感動した。人が近づくと自動でフタが開くスタートレックみたいなトイレ、細かい霧が心地良いミストサウナなどは、当時としては相当珍しく、それだけでも楽しかった。そのハイテクさと若く頼りなげなスタッフのミスマッチを面白がって足を運んでいたようなところもある。しかし、それらのハイテク設備も珍しい物ではなくなった今、フワフワと頼りなげなスタッフを面白がっているばかりでは、ネタが尽きる。次回は、さらにパワーアップした「笑いのネタ」を提供してくれることを期待している。

このように、スタッフが一年持つか持たないかの中、オープンからずっと変らないのが高橋料理長。料理は、素材をヘタにいじるのではなく、シンプルで、地元の食材が一番美味しく生きる皿が多い。素朴さと技のバランスが気に入っている。なかでも、最後に出る炊き込みご飯がとっても美味で、毎回楽しみ。高橋さんの料理があれば、たとえ、スタッフさんが、ゆる〜くても、来年もリピートするだろう。

また来たい度:見守り点も含めて★★★★★(5★が満点)

インターネット:全室有線LAN完備(利用無料)、ケーブルはフロントで無料貸し出し可、PCは持参。

        ケーブル取り込み口が部屋の隅っこにあるので、PC用の電源延長コードを持参すると便利。

        2011年からiPad3Gが室内に完備、自由に使えて便利

docomo:アンテナ5  SoftBank:アンテナ3  au アンテナ5

西伊豆 土肥温泉 無雙庵 枇杷

2012年08月18日〜2012年08月19日