正月飾りが美しく、シンシンと底冷えする新年に来て以来の俵屋である。今回は、ただでさえ、うだる暑さの上に祇園祭で熱気ムンムンの夏の再訪となった。故スティーブ・ジョブズ氏が来日の際に常宿としていた老舗旅館。京都の旅館の中でも最古と言われ、驚く事に創業300余年になるというから、京都の歴史のぶ厚さに唸らざるをえない。しかも、江戸から明治期にかけて、公家や大名の常宿という位置づけだった事から、高い要求に応えるための、妥協を知らない独特の路線を何百年もひた走ってきた。その姿勢は「俵屋の不思議」という書籍まで出るほどで信奉者の数も半端ではない。ひとたびファンになってしまうと、熱病のようにリピートしてしまう顧客が多い。

ただ、好みの賛否両論は極端で、ファンになるか、まったくのダメ出しかの、どちらかのような声を聞いている。物質的な充足を強く求める現代的な「サービス」や施設の近代的使い易さ、ゴージャスさを求める人には、満足感は必ずしも高くないと思うが、畳にごロリとなった時の心地よさと、日本家屋の低い目線への追求、食事の箸のわずなな湿り気、厳選に厳選をした季節寝具のクオリティ、駐車場から出庫されて来た車の車内の前もって考えられたクーラーの温度・・・などなど、「目に見えないスゴ技配慮」に対して価値を感じる人には、すばらしい大人の宿と映ると思う。

今回は、ジョブズ氏が来日の際に利用していた部屋「暁翠庵」に宿泊。オーナーが、和風建築と洋風ベットの相入れない相性に悩み続け、ベット導入は長年見送られてきたそうだが、リクエストの声が大きくなり、和風建築と洋風ベットの融合を練に練って実行した唯一の部屋だそうだ。京都市内のど真ん中、近くには幹線が通っているとは思えないほど静かで、館内の空気はヒッソリとしている。

調度品には数百年余のお宝がさりげなく置かれ、それらを見ながら館内をジックリ歩くのも楽しい。

俵屋の「旅館の道」は、ただ上品で物腰が柔かいだけではなく、認めない物は撥ねつける頑固な強さも感じる。ここに泊るからには、気ぜわしくせず、ボ〜っと何もしないで、長い物に巻かれるように、俵屋に巻かれて、時の流れるのに身を任せて過ごすのが一番でしょう。静かで澄んだ時間を肌で感じて吸収できます。

また来たい度 ★★★★★(★5が満点)

インターネット:室内無線LAN完備(無料)、PC持参

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京都府京都市 京都俵屋旅館

2012年07月14日〜2012年07月15日