箱根町宮ノ下 箱根吟遊

2013年11月09日〜2013年11月10日

 相当に気合いを入れない事には、ここの予約は取れない。紅葉の季節の週末ともなれば尚更で「日本一予約がとりにくい宿」だそうだ。誰でも来年の予定など、わからない訳だが、それでも1年先まで満室だ。しかし、足を踏み入れてみれば、なぜ予約が殺到するのかがわかる。「ハッとする」シーンが織りなす館内は、ユニーク且つ独創的だ。古さと新しさがうまく融合していて、老若男女に対応できるのも強みだろう。

 2002年に、それまでの古いスタイルの「武蔵野本館」が若旦那によって「箱根吟遊」として再スタート、あっと言う間に人気宿になった。若旦那は旅館業を継ぐ気がなくサラリーマンだったそうだ。それがバリ島のリゾートホテルで「美しい自然の中で濃い時間がユックリ流れ、ロウソクだけの薄暗い空間が不思議な魅力だった」事にインスピレーションを受け、その継ぐ気のなかった旅館業を一念発起で継ぐ事にしたそうだ。

 館内は、ドップリとバリ島だが、バリに限らず、広く東南アジア圏や、遠くエジプトのデザインかと思われる小物など、「不思議ちゃん」な物で溢れている。統一感のない小物がゴチャゴチャと多く置かれているのだが、なぜかゴチャゴチャ感がなく、怪しい雰囲気が魅力にもなっている。エキゾチックオンリーかと思いきや、中居さんは着物で館内廊下は畳という和風。しかし、それらがトンチンカンではなく、うまく融け合っているから、益々不思議な異空間だ。若旦那曰く「ハッとするような発見、小さな感動が沢山ある提案型のサービス」を目指したとのこと、確かにその通りだ。

 元々の立地が、紅葉美しい箱根の山を一望する山の斜面に張り付くように建っているため、その眺望の素晴らしさを最大限に生かし、 自然を五感で感じるため、客室やラウンジは、渓谷にせり出すように設計されている。各部屋の風呂は、あえてガラスを施さず露天にし、自然を取り込むようにしたという。 赤や黄色に色づいた幻想的な山を前に、バリのガムランが流れ、アジアンモダンの家具調度に囲まれ、非日常に首まで浸れるわけだ。

 旅は、この宿のトレードマークにもなっている美しいフォルムの椅子二脚がモデルのように立っている素晴らしいロビーから始まる。新緑の季節もいいが、紅葉シーズンも一見の価値あり。到着し、ラウンジで手の込んだドリンクを頂き、お部屋へ。

 部屋の温泉露天も気兼ねないバスタイムでいいし、大浴場も男女各一箇所ずつあるから、お風呂に入ってグダグダとするべし。お風呂の後、バーに行けば、風呂あがり生ビールのサービスがある。ちょっとした事だが、コレが最高に嬉しい。食事は部屋食になる。料理は上々、かなりの高得点。よく研究されていて、他の旅館にはない、不思議メニューにも出会える。

若いスタッフさんがとても多い。皆さん明るく一生懸命で清清しい。しかし一生懸命でもやや心もとない部分もある。そこは昔から在籍している大ベテランの中居さんも多いので、若い新風と大ベテランをうまく組み合わせた宿だと思う。

今回は「渓風」という部屋に泊まったが、広さが贅沢にあり、とても気に入った。各部屋サイズもデザインも違う為、いろいろな部屋を試してみると、大好きな一室が見つかると思う。

箱根は、都内から1時間半あれば到着できる、車の走行距離は100キロあるかないかの便利な場所。それ故、週末は観光客がドッと繰り出し、細い山道は、凄まじい渋滞だ。箱根吟遊から一歩出れば、道路は大渋滞の現実なのだが、宿の中は、そんな喧騒とは無縁の静けさ、空気さえも違う。再開10年を超え、益々、繁盛の素敵宿である。

また来たい度:★★★★★(5★満点)

オススメ:どなたでも / 基本コンセプトは「お二人様」宿

インターネット:環境なし(フロントの無線を拾いますが、パスワードは教えてくれません)

携帯電話:docomoアンテナ5本  auアンテナ3本 /  e-mobile アンテナ2本   ※階下に行くほどアンテナ数が減少します。