伊東温泉 オーベルジュ花季

2013年02月08日〜2013年02月09日

味もさることながら、その盛り付けの美しさ、魅せ方、絶妙なコースのバランスでお客さんを惹きつける、女性シェフ坂本さんが81歳のお母さんと二人三脚で腕を振るう、一日二組だけの小さな宿。すべてのスタートになったのは、お祖母ちゃんの味と言われているが、そのお祖母ちゃんも101歳でお元気とのこと。お祖母ちゃんの味が、お母さん、お孫さんと3女性に引き継がれているのも素敵。坂本シェフの料理は、食材の組み合わせの発想が型にはまらず、表情豊かで目を見張るほど芸術的。どうしてこんなにも美しいのか?今回、お母さんがお話ししてくれたのは、娘さんはシェフになる前はグラフィックデザイナーだったそうな。それゆえ、他にはないデザインを追求探求する、素敵なお皿の数々が確立したとのこと。もっと驚いたのは、平成元年に宿をオープンするに当たり、東京から帰ってきた時は、シェフではなかったということ。そこから一念発起。プロの板前さんに日本料理の基礎を一から学んだそうだ。きっと何事も妥協知らずの方なのだろう。

上品で品のよいお母さんは、お喋り好き。そしてなかなかのビジネスウーマン。そのセンスを引き継いたシェフの娘さんは、しなやかな自然体。芯の強さと何かキラリとした感じがする人。

お食事処の上階が宿泊の部屋で、次の間と広縁付きの畳の部屋になっている。窓の外は清流が流れ、檜内風呂の温泉は24時間OK。この温泉が、たまらなく気持いい。宿泊の部屋は極めてシンプルな佇まいだが、2種類ある食事の部屋は、テーブル・椅子・装飾のひとつひとつにインパクトがあり、重厚感と大人の空間を楽しむことができる。流れる空気の落ち着きも、ため息の出るセンスの良さも、ご馳走のひとつになる。

お母さんが57歳だった24年前、熱海から伊東に移り、この宿を開いたのだという。土地の選定は、前が清流、後が緑の山という、将来誰からも遮られない自然の立地が大きかったそうだ。時は大型旅館が当たり前という時代、その時代に、現在では驚かれない「一日わずか2組のみを受け、斬新な料理で饗す」という事業を始めた先見の明に、そして多くの人が「引退」を考え出す年代になって新たな地で夢を実現させた度胸に、完全脱帽。今回は後の山を購入し、なんと椎茸栽培を始めたとのことで、肉厚の風味豊かな椎茸が数種類のお皿にのぼっていた。

宿の周りは観光客が興味を持つようなエリアではなく、まったくの住宅地。それゆえ、宿の部屋で、本でも読んでゴロゴロし、温泉に入って、美味しいもの食べて、またゴロゴロする。そんな宿泊が、ここの正しい宿泊です。

また来たい度:★★★★★(5★が満点)

インターネット:なし

携帯電話:docomoアンテナ5本 auアンテナ5本 /  e-mobile 5本