伊豆 天城湯ケ島 あせび野

2014年05月24日〜2014年05月25日

中伊豆は日照時間が短い為、湿度が保たれ、緑の色合いが素晴らしい。とく新緑が眩しく、芽吹きに勢いを感じる5月は最高だ。むせ返るような甘い香りに満たされる紅葉の林は、惚れ惚れとするほど美しい。

「あせび野」は、我が家の一押しであり、我々が旅館巡りにハマったキッカケともなった宿だ。オープンしたての11年前から通い続け、今回で23回目になった。ここ数年は、年に3回のペースが定着してきた。

静岡県伊豆半島の中程にある天城湯ヶ島は川端康成の「伊豆の踊り子」の舞台。電車の便がない為、便利にすぐに到着というわけにはいかない。人も少なく地味な場所だ。それゆえ、一度、宿に入ってしまえば、アクティブに過ごすという事にはならず、部屋にお籠り、温泉につかってグダグダとするのが正解。

ここが気に入っている理由は、多々あるが、古い固定観念からいち早く脱却した宿だったからという理由が大きい。昔の旅館は女将がいて大勢の中居がいて、客は中居にあしらわれる印象があった。部屋に冷えかけの食事が運ばれ、終わるか終わらないかでバタバタと布団を敷かれる。せわしなく、プライバシーもない、そういうのがイヤで旅館からは遠ざかった。

11年前といえば、旅館の各部屋に個室露天風呂が付きはじめ、部屋食ではなくダイニングで頂くスタイルが世に出てきた頃。あせび野はその先駆者的な宿で、初めて来た時は、何もかも嬉しい驚きだった。設備的にも斬新だったが、至る所に手すりが付き、段差がなく、廊下は広く、その頃バリアフリーを徹底している旅館は、ほとんどなかった為、配慮が隅々まで届いた気配り目配りに感心したものだった。その気配り目配りは衰える事無く、年々、進化しているから驚き。そして、あせび野の一番の財産は「人」だと思うほど、スタッフの皆さんは素晴らしい。明るくてサッパリと気取りがなく、適度な距離感も気持ちがいい。

繰り返し来ても飽きない理由の もう一つが「料理」。これがあるからリピートすると言ってもいいかもしれない。超ゴージャスというわけではないが、基本をガッチリと押さえた上での工夫の創作が毎度毎度の新しさを生んでいる。高レベルがずっと変わらず維持されていて、兎にも角にも「安心」していられるのが、その理由。昨年は60代の板長さんが退き40代の若い板長さんに変わった。基礎の味付けは変わらないものの、盛り付けとお品書きに「若さ」を感じる。若さゆえか、やや冒険してしまったかなという味付けもあるが、今後に期待して見守って行きたい。洋食を手がけた板さんらしく、随所に洋風の「ひねり」を効かせた和懐石がユニークだ。

設備・スタッフさん・料理と三本がシッカリとしていて、プラスお肌がスベスベになるよい泉質の温泉。人気が衰えるわけはないと思う。これからも安心を創りだしていってほしい。萌黄色の紅葉に囲まれた5月のこの日も、あせび野は満室御礼。

また来たい度:★★★★★(5★満点)

インターネット:室内・ロビー共に無線LAN可、利用無料。PC持参

携帯電話:docomoアンテナ3~4本 auアンテナ1本 /  e-mobile 3本