京都市 大悲山 美山荘

2014年11月07日〜2014年11月08日

「京都市内」と言うには、あまりに京都のイメージから、かけ離れている花背という山の中にある。京都駅からは、約2時間くらいかかるだろうか。

今年の冬、初めて伺い、すっかりハマってしまった「美山荘」。

チェックアウトの際、女将さんに、秋に「松茸」料理が食べられるかと聞くと、特別の注文で可能という返事。速攻で予約をお願いした。指折り数えて楽しみにしていた。なぜなら京都の松茸の香りは、他の産地よりも格別芳醇と聞く、それが美山荘の料理の手に掛かるのだから、鬼に金棒だろう。半年以上待つのも苦はなしだ。

京都市内の紅葉は、まだまだで、青葉が多いこの時期、花背はすでに紅葉真っ盛り。道が落葉の絨毯だ。そんな赤や黄色の葉をトンネルのようにくぐる山道をドンドンと奥に登って行く。車一台がやっとという道幅になれば、美山荘も近い。前回、真っ白な雪に埋もれてしまっていた宿は、真っ赤に染まった紅葉に囲まれていた。雪の時には、まったく想像できなかった風景だ。

建物は、母家のある「山の棟」と宿泊部屋のある「川の棟」の二手にわかれている。色が押さえられ、物静かで深い空気が漂う。部屋は「石楠花」という一番奥の部屋をお願いしていた。シンプルな10畳あまりの部屋は、なんとも上品な部屋だった。 決して華美でも贅沢でもないのだが、大人の空間に相応しい部屋だった。一枚ガラスの大きな窓が川に向き、川にせり出して川床スタイルの涼がとれる場所となっている。その一枚ガラスは、まるで何もないが如く磨かれており、曇り一つない為、間違っておでこをぶつけてしまいそうだ。石楠花の部屋は、美山荘の中でも意匠に手がかかっている部屋だそうだ。デザインは俵屋旅館と同じ建築家と聞く、要所要所に共通のデザインがあり、建築が好きな人は楽しんで眺められると思う。

お抹茶と、とち餅を頂くと、だんだんユルリとした気分になってくる。部屋には音の出るもの、テレビなど何もない。音は川の流れのみ。現代人の必需品「携帯」を見ると・・・docomoはアンテナがしっかりしているものの、auは全滅。宿の無線LANは、まるで月から飛んできた電波を受け取るほどに「かすか」だ。それが美山荘に来る意義の一つでもあるのだろう。ここに来るには、自然と向き合い何もしない。したとしても、好きな本でも読むのが一番なのだろう。

貸し切りになる川沿いのお風呂は、利用に制限時間はなく、のびのびと利用させていただいた後、係の女性が生姜湯を持って部屋を訪れる。夕食の時間の確認だ。本日は母家で18時半とのこと。カウンターで板前さんに松茸を焼いて頂ける。料理のお皿は、いずれも山の宝物がいっぱい詰まった大人の味満載の数々。量も調度よい、お腹イッパイなのだが、そのイッパイさが、苦しすぎる嫌なイッパイではないのだ。ここの料理の本当の良さは、若い人にはわからないだろうなぁと思ってしまう。今回は、すっかり有名人となったご主人の歓待も受け、嬉しさ美味しさ倍増。

思っていた通り、とても強いオーラを発している方だった。そのオーラに引きつけられて、味にうるさい著名な人達も、こっそりとやって来る宿になっているのだろう。

静かで洗練された「もてなし」を受け、季節が散りばめられた上品な料理を頂き、川の流れの音の中でグッスリ。素敵な京都の奥座敷でのお籠り。京都の観光などには目もくれず、美山荘に来るだけが目的で京都に降り立っても、なんら惜しくない、そんなお宿です。

また来たい度:★★★★★(5★満点)

インターネット:無線LAN可、利用無料。PC持参。しかし電波は極薄

携帯電話:docomo アンテナ5本 テザリング良好、 au 圏外