伊豆 天城湯ケ島 あせび野

2014年12月31日〜2015年01月01日

いつのまにやら「正月」は「あせび野」で過ごすようになってしまった。ここは山の合間にあり寒くてうら寂しさが漂う、そこにわざわざ来て正月を過ごすのは、毎年同じ場所に繰り返して来る事を感謝する気持ちが強い年齢になったからだろう。

中伊豆の天城湯ヶ島は「伊豆の踊り子」の舞台となった場所で、今でも映画のシーンのように緑多く、山と山に囲まれ、日ノ出は遅く日没は早く、一日のうち、晴れていても太陽が届く時間がとても短い。冬に吹き抜ける強い風は天城の山からの雪の吹き降ろしで、とても冷たい。伊豆半島の中で中伊豆のみにチェーン規制が出る事も多く、それくらい、ここは東伊豆や西伊豆と気温が違う。苔生した石と豆蔦に覆われた木々が鬱蒼としている味わいは、日照時間の短さが創りだしたものだ。

派手なお遊びはせず、ジッとお籠りで、温泉と食事を楽しみにする大人の場所としては、これ以上の場所はないと思う。清流が流れる川の音しかしない、そんな場所ゆえ、過去の文人達が作品を書くために逗留していたという古旅館が周りには多い。

その地味な場所に、安定感抜群の宿「あせび野」ができて12年目。親宿に「嵯峨沢館」を持つが、親宿よりも斬新さが光り、そこが気に入っている。女将が三つ指付きに来るような古いタイプの旅館が苦手な我々は、このアッサリとした雰囲気が好きで、今回で24回目の訪問となった。12年前といえば、旅館の各部屋に個室露天風呂が付きはじめ、部屋食ではなくダイニングで頂くスタイルが世に出てきた頃。あせび野はその先駆者的な宿で、初めて来た時は、何もかも嬉しい驚きだった。設備的にも斬新だったが、至る所に手すりが付き、段差がなく、廊下は広く、その頃バリアフリーを徹底している旅館は、ほとんどなかった為、配慮が隅々まで届いた気配り目配りに感心したものだった。現在は設備という意味では後発の旅館に追いつかれてはいるが、その気配り目配りは衰える事はない。そして、あせび野の一番の財産は「人」だと思うほど、スタッフの皆さんは素晴らしい。明るくてサッパリと気取りがなく、適度な距離感も気持ちがいい。

40代の若い板長さんに変わってから2年経つ。お目にかかった事はないが、お若い故に、やや「挑戦しすぎ」のメニューが時折出現する(笑) 今年の正月料理は、昨年の正月料理に比べ、品書きがパワーアップし過ぎで、連日連夜の「超ご馳走」の責め苦であった。過ぎたるは及ばざるが如しは若い方にはなかなか通じないのかもしれない。

客の声が板前さんに伝わる機会は多くはないかもしれない。我々の胃袋の期待に応えてくれるかどうかは、もう少し時間がかかるだろう。

また来たい度:★★★★★(5★満点)

インターネット:室内・ロビー共に無線LAN可、利用無料。PC持参

携帯電話:docomoアンテナ3~4本 auアンテナ1本 /  e-mobile 3本